2023.08.22 地域・研究活動
理科スクールを実施しました
理科や科学技術に興味を持ち、学びに向かう力を育成するために、高崎健康福祉大学では、近隣の中学校の生徒さんを主対象とした理科の実験イベントを実施してきました(平成30年からは対象を高校生にも拡大)。
本年度は、中学生8名、高校生22名、合わせて30名(のべ33名)の方に参加頂き、7月29日(土)に「理科スクール」を実施いたしました。以下に実施内容を示します。
1)分析機器を使って、食べ物の塩分量を調べてみよう (健康栄養学科)
塩分は生きるうえで必要不可欠な栄養素です。本講座では、清涼飲料水中の塩分(塩化ナトリウム)量を原子吸光光度計という分析機器を使用して調べました。最初に原子吸光の測定原理にも関係する炎色反応を観察し、次に飲料水から塩分を抽出し、機器で実際に測定を行いました。測定結果から清涼飲料水の塩分量は、栄養成分表示とほぼ同じであることが確認できました。はじめて使うマイクロピペットの操作など実験機器の取り扱いは大変だったと思いますが、測定原理から測定方法まで理解を深めることができました
2)パズルを解くように化合物の構造決定に挑戦してみよう(薬学科)
ある粉末(化合物X)について、化合物Xの1次元および2次元NMRデータを用いて、パズルアサイメント法を実施することにより、受講者は化合物Xの構造決定をすることができました。さらに、化合物Xの他、グルコース、マルトース、トレハロースを用いてメイラード反応を実施し、受講者は、① 化合物Xの化学的性質、② 還元糖と非還元糖の構造の違い、③ 体内や身近で起こるメイラード反応 に関する理解を深めることができました。
3)いろいろなゲル化剤を使ってゼリーを作ってみよう(生物生産学科)
こんにゃく粉、キサンタンガム、ローカストビーンガム、ガァーガム、カラギーナンの5種類のゲル化剤を用いて、その組み合わせによる物性の違いを体感しました。また、市販のこんにゃくゼリーと比較してどの組み合わせに近いのかを考察しました。その結果、受講者はゲル化剤の特性によって食感が大きく変わることを理解できました。
4)試験管内で光るタンパク質を作ってみよう(子ども教育学科)
遺伝子であるDNAから、タンパク質の設計図であるmRNAを合成しました(転写)。そして、タンパク質の設計図であるmRNA、タンパク質合成装置であるリボソーム等を含むコムギ胚芽の抽出液、タンパク質の材料であるアミノ酸を用いて、緑色に蛍光するタンパク質(GFP)を試験管内で合成しました(翻訳)。転写、翻訳を可視化することができたことから、遺伝子発現の大原則であるセントラルドグマを、実験を通じで体験することができました。
また、バナナとブロッコリーを材料として、塩と台所用洗剤を使ったDNAを取り出す操作を行ってみました。両方とも白い抽出物が得られましたが、取り出したものが本当にDNAなのか特殊な試薬を用いて確認しました。結果はブロッコリーからとれた白い抽出物はDNAであるが、バナナからとれた白い抽出物はDNAでないことが分かりました。
当日、猛暑の中、参加された皆さんは、講師の先生の指導のもと、実験活動に真剣に取り組んでいました。
当日実施したアンケートにおいても、「面白かった」、「理科・科学技術の分野への興味・関心が高まった」、「自分の進路の参考になった」等の意見・感想が寄せられ、大変好評でした。中学生にとっては、高校生や大学生と接することで自身の将来や大学について意識する良い機会となったと思います。
以下は当日の実験の様子です。