2017.12.13 地域・研究活動

中南米で蔓延している感染症の原因となる寄生虫に対して高い効果がある化合物を 見出しました

薬学部 有機合成化学研究室 教授 岩崎源司 講師 須藤豊

シャーガス病は中南米数カ国における風土病で、農村部や貧しい都市郊外部に多く見つかっている感染症です。推定で600~800万の人びとがシャーガス病の原因となる原虫トリパノソーマ・クルーズに感染しているといわれ、毎年12000人が命を落としています。近年、人の移動や移住が進み、アメリカ・ヨーロッパ・日本などでも感染者が報告されています。
シャーガス病の治療薬としては、ベンズニダゾールやニフルチモックスが知られていますが、どちらもとても古い治療薬で、様々な副作用を伴う上に、感染の慢性期には十分な効果が得られません。更にそれらの治療薬に対して耐性を持つ原虫も現れているという状況です。
そのため、治療効果が高く、副作用の少ない新しい治療薬の開発が強く望まれていますが、シャーガス病が蔓延しているのが、発展途上国の特に貧困地域であるため遅々として進みませんでした。
このような現状を受けて、近年では様々な研究機関が共同でシャーガス病の新薬の開発に取り組んでおり、近い将来、効果的な治療薬が開発される兆しが見え始めています。
当研究室でも原虫トリパノソーマ・クルーズに対して抗原虫作用(活性)を有する天然物コマロビキノンに着目し、独自に開発した全合成ルートの中間体等の抗原虫活性を評価しました。その結果より、コマロビキノンのキノン部位が活性の発現に大きく関与していることを明らかにしました。さらにコマロビキノンと同じキノン構造を有するものの中間体とは異なる化合物の合成と活性評価を行い、コマロビキノンと同等の抗原虫活性を有するいくつかの化合物を見出しました。
現在は、地球規模課題対応国際科学技術協力事業(SATREPS、研究代表:群馬大学医学部保健学研究科 嶋田淳子教授)と呼ばれる大型プロジェクトに参画し、更なる化合物の探索に着手しています。

雑誌名:Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters
発表年月日:2015年5月16日
論文名:Synthesis and biological evaluation of quinones derived from natural product komaroviquinone as anti-Trypanosoma cruzi agents
(天然物コマロビキノンに関連するキノン類の合成とトリパノソーマ・クルーズに対する抗原中活性の評価)

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