2024.08.28 地域・研究活動
理科スクールを実施しました
理科や科学技術に興味を持ち、学びに向かう力を育成するために、高崎健康福祉大学では、近隣の中学校の生徒さんを主対象とした理科の実験イベントを実施してきました(平成30年からは対象を高校生にも拡大)。
本年度は、中学生6名、高校生25名、合わせて31名(のべ41名)の方に参加頂き、8月3日(土)に「理科スクール」を実施いたしました。以下に実施内容を示します。
1)温かいアイスクリームを作って食品添加物について学んでみよう (健康栄養学科)
アイスクリームは冷たくて美味しいのが一般的ですが、食品添加物を用いることで、温かくても溶けないアイスクリームを作ることができます。受講者は、実際に温かいアイスクリームを作ることで、化学的な原理を理解し、冷たいアイスクリームとの違いを体感しました。さらに、食品添加物の役割やその特性についても学び、日常の食品における食品添加物の有用性について理解を深めることができました。
2)身の周りにある物質の構造や性質をみてみよう(薬学科)
ある粉末(物質A)について、物質Aの1次元および2次元NMRデータを用いて、パズルアサイメント法を実施することにより、受講者は物質Aの構造決定をすることができました。さらに、物質Aの他、グルコース、マルトース、トレハロースを用いてメイラード反応を実施し、受講者は、① 物質Aの化学的性質、② 還元糖と非還元糖の構造の違い、③ 体内や身近で起こるメイラード反応 に関する理解を深めることができました。
3)いろいろなゲル化剤を使ってゼリーを作ってみよう(生物生産学科)
こんにゃく粉、キサンタンガム、ローカストビーンガム、ガァーガム、カラギーナンの5種類のゲル化剤を用いて、その組み合わせによる物性の違いを体感しました。また、市販のこんにゃくゼリーと比較してどの組み合わせに近いのかを考察しました。その結果、受講者はゲル化剤の特性によって食感が大きく変わることを理解できました。
4)試験管内で光るタンパク質を作ってみよう(子ども教育学科)
遺伝子であるDNAの遺伝情報を元に、リボヌクレオチド(RNAのヌクレオチド)を材料にして、RNAポリメラーゼ(合成酵素)によって、タンパク質の設計図となるmRNAを合成しました(転写)。そして、タンパク質の設計図であるmRNA、タンパク質合成装置であるリボソーム等を含むコムギ胚芽の抽出液、タンパク質の材料であるアミノ酸を用いて、緑色に蛍光するタンパク質(緑色蛍光タンパク質;GFP)を試験管内で合成しました(翻訳)。RNAに反応して黄色に光る試薬で転写を、緑色に光るタンパク質で翻訳を可視化することができたことから、遺伝子発現の大原則であるセントラルドグマを、実験を通じで体験することができました。
また、翻訳反応を待つ間、バナナとブロッコリーを材料として、塩と台所用洗剤を使ったDNAを取り出す操作を行ってみました。両方とも白い抽出物が得られましたが、取り出したものが本当にDNAなのか、DNAに反応して黄色に光る特殊な試薬を用いて調べてみました。その結果、ブロッコリーからとれた白い抽出物はDNAであり、バナナからとれた白い抽出物はDNAでないという結論が得られました。
当日、猛暑の中、参加された皆さんは、講師の先生の指導のもと、実験活動に真剣に取り組んでいました。
当日実施したアンケートにおいても、「面白かった」、「理科・科学技術の分野への興味・関心が高まった」、「自分の進路の参考になった」等の意見・感想が寄せられ、大変好評でした。中学生にとっては、高校生や大学生と接することで自身の将来や大学について意識する良い機会となったと思います。
以下は当日の実験の様子です。