多彩な実験・演習・実習
薬学の講義で学んだ課題は、自らが手を動かして(実習)を行い、その経過や結果について考察することにより、実践可能な知識として身につきます。実習はすべて必修科目で2年次から行います。このうち、2年次前期で実施する基礎化学実習・基礎衛生薬学実習・基礎生物学実習では、2年次後期~3年次で実施する専門的な実習や卒業研究を円滑に遂行できるように、実験に対する心構えから始まり、試料の扱い方、実験機器の適切な使用方法、データのまとめ方、化合物の反応や性質、環境と生命の関わり、生物の仕組み、化学実験機器の扱い方など、実験を行う上で必要となる知識や技能を修得します。
卒業研究は、薬学で学んだ知識・技能・態度の応用として薬学・医療の進歩に繋がるようなテーマについて研究を行います。薬学共用試験を修了し、5年進級時に希望に沿って研究室に配属され、研究室教員の指導のもと6年前期終了時まで研究を行います。得られた成果は卒業研究発表会で公表するとともに卒業論文としてまとめて提出します。薬学における研究の位置づけを理解し、生涯にわたり意欲を持って問題解決に取り組む姿勢を身に付けます。
卒業後に即戦力の薬剤師として社会で活躍するには、医薬品やその取り扱い方についての十分な知識、医薬品についての情報を収集する能力はもちろんのこと、チーム医療の一員として、他の医療スタッフや患者さんとのコミュニケーション能力も身につけておく必要があります。即戦力薬剤師に必要なこれらの技能を修得するために、5年次では臨床現場(病院薬剤部や保険薬局)で薬剤師実務についての実習を行います。この実務実習を受けるためには、事前に全国共通の共用試験(4年次後期に実施、必要最低限の知識と実技の修得を確認するための試験)に合格しなければなりません。
主な授業紹介
基礎教養ゼミ
【薬学入門として】期待と不安の入り交じる新入生が初めに学ぶ科目です。薬学学修支援センターの教員による大学での学習方法と6年間に及ぶ学びの概略の説明、専門科目を担当する教員による最新トピックの紹介に加えて、薬剤師としても活躍している教員から医療現場における薬剤師の役割を学び、さらに薬剤師として日々活躍されている本学卒業生を講師として招き、実践的な薬剤師のあるべき姿を学んでいきます。テーマによっては、学生どうしで議論することで学びを深めていくことができる形式も取り入れています。
薬理学
【薬学必須の科目として】薬理学は、我々の体に対する化学物質の作用を臓器、細胞から分子のレベルまで総合的に理解し、その成果を薬として病気の治療に応用する基礎になる学問です。生物化学や機能形態学で既に学んだ生体のしくみ、および化学物質としての薬の性質や反応を十分理解したうえで、臨床で既に使われている薬から最新の治療薬まで、作用機序を中心に学びます。
薬剤学
【薬学必須の科目として】薬剤学は、物理薬剤学、製剤学、薬物動態学という講義科目の総称です。物理薬剤学では薬の物理化学的性質を学び、製剤学ではその薬に適した剤形、すなわち製剤の調製法を学びます。また、薬物動態学では製剤がヒトに投与された後の薬の体内動態(吸収、分布、代謝、排泄)について学びます。これらの学習を通じて、製剤がどのようにつくられ、病気の治療にどのように使われるのかという知識を習得することを目的とします。
公衆衛生学
【薬学必須の科目として】薬剤師は、人々の健康保持や疾病予防について衛生薬学的な立場からの貢献が期待されています。この科目では、保健統計、疫学、感染症の予防、生活習慣病、食品の安全性、身の回りの化学物質、大気・水・室内の環境と健康の関係について幅広く学びます。
免疫学
【臨床分野の必要科目として】この科目では、細菌やウィルスなど異物の侵入に対して体を防御する仕組みである免疫の仕組みについて学びます。さらに、免疫系の異常によっておこるアレルギーなどの疾患や、免疫学を応用した検査や薬についても学習します。
薬物療法学
薬剤師として、適正な薬物療法を実施するためには、薬物治療で使用される個々の医薬品の効能・効果や副作用、使用上の注意等について理解する必要があります。この科目では、各疾患の病態を理解した上で、治療に使用される医薬品の基本的な知識および実際の使い方について学習します。