さまざまなご質問にお答えいたします。
- 管理栄養士と栄養士の違いは何ですか?
- 入学後、化学・生物はどのくらい必要ですか?
- 管理栄養士の合格率を教えてください。
- 管理栄養士の就職先は具体的にどこですか?
- 管理栄養士国家試験の試験科目は何ですか?
- 大学院に進学する必要性はどこにあるのでしょうか?
将来、大学院に進みたいのですが可能ですか? - 病院栄養士になりたいのですが、どんな勉強をすればよいですか?
- スポーツ選手の栄養学に興味があります。
将来、スポーツ栄養の分野に進むにはどのようにしたらよいですか? - 栄養教諭になりたいのですが、どうすればなれますか?
- メタボリックシンドロームと管理栄養士の関わりについて教えてください。
- 食品衛生監視員・食品衛生管理者とは何ですか?
- どうすれば食品衛生監視員・食品衛生管理者になれますか?
- フードスペシャリスト・専門フードスペシャリストとは何ですか?
- フードスペシャリストの資格取得をしての就職先はどこですか?
- 管理栄養士と栄養士の違いは何ですか?
- どちらも栄養士法に裏付けされた国家資格です。栄養士は、厚生労働大臣の指定した栄養士養成施設を卒業後、都道府県知事の免許を受けて「栄養士」となります。管理栄養士は、管理栄養士国家試験に合格した者が厚生労働大臣の免許を受けて、「管理栄養士」となります。
国家試験の受験資格は、修業年限が4年の管理栄養士養成施設を卒業していること、あるいは栄養士養成施設を卒業後、一定期間の栄養士の実務経験を積んでいることが必要となります。実務経験の年数は、栄養士養成施設の修業年限によって1年以上から3年以上と異なります。どの場合も、栄養士免許を取得していることが前提です。栄養士免許を持った者が国家試験に合格することで、管理栄養士の免許が得られるのです。
また、栄養士・管理栄養士は、どちらも栄養の指導に従事しますが、管理栄養士は、高度な専門知識や技術を必要とする(1) 傷病者の療養の為に必要な栄養指導、 (2) 個人の健康保持増進の為の栄養指導、 (3)給食を提供する施設での特別な配慮を必要とする給食管理、(4)(3)の施設に対する栄養改善上必要な指導等、を行うものとされています。具体的には、病院での患者さんの状態に適した栄養指導や治療食の提供、都道府県での栄養行政、市町村での地域社会・住民への栄養指導、給食施設のなかでも特別な配慮が必要な老人等福祉施設や食数の多い給食施設などの栄養管理、給食管理、これらは管理栄養士の分野です。一方、一般的な給食施設での給食管理や一般健康人を対象とした栄養指導等は、栄養士の分野といえるでしょう。
- 入学後,化学・生物はどのくらい必要ですか?
- 栄養について学ぶということは,単に料理が上手になるとか,エネルギー計算ができて栄養指導できるようになるということではなく,ヒトの体のしくみや食品の科学を学ぶことと同じです。大学は専門教育をうける場ですので,化学・生物は栄養学・食品学を学ぶ上で基礎となる学問でありとても重要になります。入学してからも化学と生物の基礎を学ぶ講義はありますが、高校で少なくとも化学・生物の内容を十分理解していた方が入学後の授業がわかりやすい(期末もしくは国家試験も通りやすい)と思います。高校で履修できなかった人は参考書などで自習しておくことをお勧めします。
- 管理栄養士の合格率を教えてください。
- 管理栄養士の国家試験は、毎年3月の上旬に実施され、下旬に合格発表があります。出題数は200問で、合格基準は正答率60%以上です。 令和3年2月28日(日)に実施された第35回管理栄養士国家試験の結果は、受験者16,019人、合格者10,292人、合格率64.2%でした。近年の合格状況と本学の合格率は以下のとおりです。
表 受験者数・合格者数・合格率の推移
第29回 (平成27年) |
第30回 (平成28年) |
第31回 (平成29年) |
第32回 (平成30年) |
第33回 (平成31年) |
第34回 (令和2年) |
第35回 (令和3年) |
|
受験者数 合格者数 合格率 管理栄養士養成課程(新卒) 管理栄養士養成課程(既卒) 栄養士養成課程(既卒) |
19,884人 11,068人 55.7% 95.4% 26.0% 22.8% |
19,086人 8,538人 44.7% 85.1% 5.4% 9.2% |
19,472人 10,622人 54.6% 92.4% 18.4% 19.3% |
17,222人 10,472人 60.8% 95.8% 20.8% 19.2% |
17,864人 10,796人 60.4% 95.5% 18.0% 20.4% |
15,943人 9,874人 61.9% 92.4% 12.0% 17.9% |
16,019人 10,292人 64.2% 91.3% 19.1% 24.3% |
本学の合格率 | 100.0% (11期生) |
98.8% (12期生) |
98.7% (13期生) |
100.0% (14期生) |
100.0% (15期生) |
98.7% (16期生) |
98.8% (17期生) |
- 管理栄養士の就職先は具体的にどこですか?
- 管理栄養士は、高度な専門知識・技術をもつ者として、各方面において活躍しています。現在、管理栄養士としての就職が最も多いのは、病院などの医療機関です。続いて、受託給食会社、福祉施設となっています。その他、調剤・ドラッグストア、学校、都道府県・市町村、食品産業などがあります。
主な就職先の業務内容は、病院は、医療チームの一員として、個々の患者にあった栄養管理、栄養指導を行います。福祉施設には、高齢者施設や保育園等があり、乳幼児・高齢者・障害者の方たちの給食管理や栄養指導を行います。受託給食会社では、主に、病院、福祉施設、社員食堂、給食センター等からの依頼を受けて、その施設にあった給食管理・栄養管理等に携わります。学校では、栄養教諭や学校栄養職員として児童や生徒の給食管理や栄養教育を行っています。また、今後期待される職域としてスポーツ栄養士等があります。現在はまだ少数ですが、プロのスポーツチームの専属栄養士として個々の選手の食事管理・栄養指導等で活躍している管理栄養士もいます。
- 管理栄養士国家試験の試験科目は何ですか?
- 平成2020年度(第34回)国家試験から新しい科目での管理栄養士国家試験が実施されています。試験科目と出題数は表の通りです。本学では国家試験科目を対応させて授業カリキュラムを組んでいます。
試験科目 | 出題数 | 本学の授業科目 |
社会・環境と健康 | 16問 | 公衆衛生学Ⅰ・Ⅱ、栄養情報処理論、 栄養情報処理実習 |
人体の構造と機能及び 疾病の成り立ち |
26問 | 解剖生理学Ⅰ・Ⅱ、解剖生理学実習、生化学Ⅰ・Ⅱ、生化学実験I・II、 疾病の成り立ちⅠ・Ⅱ・Ⅲ、疾病の成り立ち実習 |
食べ物と健康 | 25問 | 調理学、調理科学、調理学実習Ⅰ・Ⅱ、食品学Ⅰ・Ⅱ、食べ物と健康基礎実験、 食品学実験、食品衛生学、食品衛生学実験、食品加工学、食品加工学実習 |
基礎栄養学 | 14問 | 基礎栄養学、基礎栄養学実験 |
応用栄養学 | 16問 | 応用栄養学I・II、応用栄養学実習、スポーツ栄養学 |
栄養教育論 | 13問 | 栄養教育論I・II・III・、栄養教育論実習 |
臨床栄養学 | 26問 | 臨床栄養学I・II、臨床栄養学実習I・II、臨床栄養管理論、臨床栄養活動論 |
公衆栄養学 | 16問 | 公衆栄養学I・II、公衆栄養学実習 |
給食経営管理論 | 18問 | 給食経営管理I・II、給食経営管理実習I・II |
応用力試験 | 30問 | 総合演習II・III |
- 大学院に進学する必要性はどこにあるのでしょうか?
将来、大学院に進みたいのですが可能ですか? - 自ら問題を掘り起こし、自らこれについて学ぶという姿勢を養成することが大学の本来の目的でした。しかし、進学を目指した高校までの授業や資格取得を目的とした大学における講義のためには多くの知識を詰め込む教育を行わざるを得ないのが現状です。自分で問題を見出し、自分で問題の解決に行動できる人材を育成するためには大学院での教育が必要となってきています。以前に大学教育で求められていたものが、現在では学部から大学院へ移りつつあります。大学院では既成の知識を学ぶことよりも、解決すべき問題を発見し、自立して研究計画をたて、これを遂行し、得られた結果を論理的に解析し、考察するという過程を修得することが目的となります。ここで獲得される問題発見能力・論理的思考能力・問題解決能力は、研究者となるには必須のものですし、企業などに就職したときにも大きな強みになることは間違いありません。
https://www.takasaki-u.ac.jp/faculty/graduate-kenfuku/eiyo
- 病院栄養士になりたいのですが、どんな勉強をすればよいですか?
- 病院栄養士は、病院・診療所で病気の治療・回復・合併症の予防をチーム医療として目指し、患者さんの栄養管理・栄養評価・栄養指導・給食管理を行っています。ただし、診療報酬の対象となる栄養指導は管理栄養士が行った場合のみです。従って、病院栄養士になる為には、管理栄養士の資格が必須です。管理栄養士免許取得方法として、一番早く管理栄養士国家試験を受験できるのが、4年制の管理栄養士養成施設の学校を卒業することです。管理栄養士養成施設大学に入学するために、必須教科の基本をしっかり勉強してください。
- スポーツ選手の栄養学に興味があります。
将来、スポーツ栄養の分野に進むにはどのようにしたらよいですか? - 本学科のカリキュラムの中には、2年次に“スポーツ栄養学”の科目があります。この科目の中では、運動生理学的観点から栄養・食事について体系的に学ぶことが可能です。また、3年次からはスポーツ栄養をテーマにした卒業研究を行うこともできます。 大学在学中から研究活動に参加したり、スポーツ栄養の講習会などにも積極的に参加したりして、スポーツに対する科学の目を養い、情報を収集するようにしましょう。また、外部とのネットワークを作っておくと良いと思います。たとえば、母校の出身クラブの指導者とまめに連絡を取り合うとか、スポーツ栄養の現場で働いている栄養士さんと話をする機会を作るなどが考えられます。なお、本学では、高崎健康福祉大学高崎高等学校のスポーツ競技部(女子ソフトボール部、男女陸上部、男女サッカー部)の栄養サポートを年間通して実施していますので、大学在学中にスポーツ栄養の実践力を養うことも可能です。スポーツ栄養分野の仕事はまだ狭き門です。しかし、チームや選手から栄養サポートの依頼があった時にすぐに即戦力になるために、卒業後も自己研鑽をしておくことをお勧めします。そのためのアイデアを2つ紹介します。
(1) スポーツ栄養の現場に出る前に、病院や給食委託会社などで栄養士としての経験を数年間積み、調理の技術、食品の流通、経営や食品衛生等の実践力をつけておく。
(2) データの読解力、カウンセリング能力、企画力、スポーツ医学などの知識や能力を養う。そのためには、大学院へ進学したり、講習会など積極的に参加したりすることも有効です。
- 栄養教諭になりたいのですが、どうすればなれますか?
- 栄養教諭は、学校栄養職員(学校栄養士)に教諭の資格を併せ持つ免許制度で平成17年4月に誕生しました。近年、子どもたちの食生活は乱れ、肥満ややせなどの問題が深刻化していますが、栄養教諭は、これまで学校栄養職員によって行われてきた学校給食管理に関する職務にプラスして、児童・ 生徒に対して食に関する指導を行います。また、学級担任や家庭・地域などともうまく連携しながら、食教育を統括することが仕事なります。本学では、管理栄養士になるために必要な科目と栄養教諭課程科目を履修することで栄養教諭一種免許状が取得できます。また、大学院で修士の学位と所定の単位を修得すれば栄養教諭専修免許状を取得することができます(管理栄養士免許の所持、栄養教諭一種免許状の取得要件を満たしている必要があります)。
- メタボリックシンドロームと管理栄養士の関わりについて教えてください。
- メタボリックシンドロームは、内臓脂肪が蓄積することによって、糖代謝異常、脂質代謝異常、高血圧を引き起こし、それぞれの症状は軽度であっても、多く合併するほど動脈硬化を促進し、心疾患や脳卒中のリスクの高くなった状態です。中高年以降の男性の2人に1人、女性の5人に1人が「メタボリックシンドロームが強く疑われる者」やその「予備群」であり、それをふまえて2008年から実施されている特定健康診断・特定保健指導はメタボリックシンドロームに着目した健診制度であり、特定保健指導および最終評価は医師、保健師、管理栄養士が実施します。メタボリックシンドロームの改善には、食事と運動で内臓脂肪を減少させることが重要であり、食と栄養の専門家である管理栄養士の活躍が期待されています。
- 食品衛生監視員・食品衛生管理者とは何ですか?
- 食品衛生監視員は、国、都道府県、保健所を設置する市において、食品の安全確保のために従事します。国の食品衛生監視員は、検疫所での輸入食品の衛生監視と検査、都道府県等の食品衛生監視員は、飲食店や食品製造業などの営業許可、食品を取り扱うすべての業種(食品販売所、学校・病院等の給食施設など)に対する食品の衛生監視・指導と検査、衛生講習、および食中毒発生時の原因調査などを行います。
製造又は加工の過程において、特に衛生上の考慮を必要とする乳製品、食肉製品、添加物などの11種食品の製造・加工業種では、食品衛生法の規定により、専任の食品衛生管理者を置かなければならないと定められています。食品衛生管理者は、これらの施設で製造・加工業種に従事する者を食品衛生法に違反しないように指導監督し、事業者に法令を遵守するよう進言します。
- どうすれば食品衛生監視員・食品衛生管理者になれますか?
- 食品衛生監視員は、健康栄養学科で所定の科目を修得して卒業後、公務員として採用され、その行政機関の長により任命されたときになれます。
食品衛生管理者も、同様に所定の科目を修得して卒業後、その職務に就いたときになれます。
これらの資格はその職務に就かなければ、その資格を公称することができない「任用資格」です。
- フードスペシャリスト・専門フードスペシャリストとは何ですか?
- フードスペシャリストは、食の本質が「おいしさ」、「楽しさ」、「おもてなし」にあることをしっかり学び、「食」に関する幅広い知識と技術を身に付け、豊かで安全かつバランスのとれた「食」を消費者に提案できる力を持つ「食」の専門家です。日本フードスペシャリスト協会が認定した大学、短期大学の学科において所定の単位を取得し、認定試験に合格すると認定されます。
専門フードスペシャリストは、食品開発分野もしくは食品流通・サービス分野において、専門性や実用性をより高めた資格です。フードスペシャリスト資格を取得済み又は取得見込みの者がチャレンジすることのできる資格です。
- フードスペシャリストの資格取得をしての就職先はどこですか?
- フードスペシャリストの資格が採用条件となっている就職先は特にありません。しかし、フードスペシャリストが活躍を期待されている職域は幅広く、食品開発、流通、販売、ホテルやレストランなどの外食産業と、流通から消費に至るまでの各分野が挙げられます。たとえば、販売の分野では販売員に対し食品の品質情報を知らせ、管理・陳列や科学的知識およびサービスを含めて指導助言したり、顧客に対しては食品の種類や選び方、その利用の方法などにわたり指導助言したりする業務が想定されます。