2018.12.20

研究成果がEuropean Journal of Nutritionに掲載されました

河原田律子講師らによる論文が、European Journal of Nutritionに掲載されました。また、これまでの研究成果が認められ、日本糖尿病・妊娠学会において学会奨励賞(大森賞)を受賞致しました。

雑誌名:「European Journal of Nutrition」 2018; 57(8):2701-2712

論文タイトル:Intrauterine hyperglycemia-induced inflammatory signalling via the receptor for advanced glycation end products in the cardiac muscle of the infants of diabetic mother rats.

著者:Kawaharada R, Masuda H, Chen Z, Blough E, Kohama T, Nakamura A.

【要旨】

これまで妊婦が高血糖状態であると胎盤を通じて子宮内が高血糖環境となり、胎児の発育やその後の成長に大きな影響を及ぼすことが明らかになっている。本研究は、これまでの研究成果を踏まえ、心臓でインスリンシグナル伝達の異常が引き起こされる分子メカニズムを明らかにし、さらに妊娠中にn-3系不飽和脂肪酸であるエイコサペンタエン酸(EPA)を摂取することで、そのシグナル伝達の異常できるか否かについて糖尿病妊娠モデルラット(糖尿病母ラット)を用いて検討した。

 研究方法は、糖尿病母ラットに普通食を摂取させ、魚油の成分であるエイコサペンタエン酸(EPA)を胃ゾンデにて毎日経口投与し、生まれた仔の心臓と心臓から単離した初代心筋培養細胞(心筋細胞)について、そのインスリンシグナル伝達系に与える影響を調べた。その結果、胎児期に子宮内高血糖環境に暴露された仔では、心筋細胞において、過度のタンパク質の糖化による酸化ストレスを介した慢性炎症が誘発され、インスリンシグナル異常が引き起こされる事を明らかにした。最も興味深いことは、それらのシグナル異常がもたらす慢性炎症を妊娠期のEPA摂取が改善したことである。

 母胎の高血糖はタンパク質やペプチドを過度に糖化し、胎児の発生・分化・成長に多くの影響を及ぼす可能性は十分に考えられる。今後はさらに他の臓器に与える影響を分子レベルで明らかにし、先制医療や生まれて来た子どものフォローアップに役立てたい。